特集
常滑焼
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常滑焼茶器展2023
9月23日(土)~10月15日(日)
朝日堂本店2F 陶芸サロン
京焼絵付・常滑焼急須コラボ
常滑の急須作家による洗練された急須に、京焼の絵付師が練達された加飾を行った、コラボ急須を制作いたしました。
いずれの急須も、世界に1点だけの特別な作品に仕上がっております。
村田益規氏による「種子島焼チャレンジ」
身につけたロクロの技を携えて、日本中の焼き物産地とコラボを続ける常滑焼急須作家 村田益規氏。今回は種子島焼の窯元にご協力いただき、同島にて初めての作陶となりました。
今回お世話になった種子島南蛮住吉窯さま所有の、全長16メートルの登り窯にて、益規氏が同島の陶土を造作した生地を焼成。南蛮の土味、自然釉が魅力の雄渾な急須、茶器が多数出来上がりました。
他ではご覧になることができない貴重な作品達です。
ぜひ会場でご覧ください。
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日本六古窯・最古の歴史を有する焼き物
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日本六古窯一つとして、中世から現代まで続くやきものの産地「常滑」。中でも、常滑焼を代表する生産品のひとつに「朱泥」と呼ばれる赤茶色の朱泥急須があります。江戸時代に常滑で生まれ、今日に至るまでつくり手の弛まぬ研鑽により発展進化し続けてきました。
朝日堂では、選りすぐりの「名工」と呼ぶにふさわしい作家たちの逸品を取り揃えております。常滑焼急須で京都を表現したコラボレーション作品も並び、常滑焼の深い味わいとその歴史を堪能していただけます。
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丸よ小泉商店
丸よ小泉商店は、常滑焼ひと筋、創業70年以上続く常滑焼の産地問屋です。創業から一貫して法人向け流通の一翼を担い、つくり手、販売店と協同し、アジアや欧米にも常滑焼急須を広めております。同商店の全面協力のもと、朝日堂本店にて開催しました2019年の「第一回常滑焼茶器展」。
朝日堂としては、「常滑焼」の取扱い、展示会ともに初の試みでしたが、強力なサポート態勢を敷いていただき、大好評のうちに幕を下ろしました。
「広く社会を洞察し、マーケットの要請に応えるかたちで常滑焼産地のつくり手と協働、さまざまな挑戦を行うこと」をモットーに掲げる、丸よ小泉商店。今後も伝統工芸の発展には欠かせない存在となっています。
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常滑焼の魅力
時代を跨ぎ進化し続けるやきもの
日本六古窯最大の生産地であり、最古の歴史を持つ常滑焼。伊勢湾に面し、粘土と燃料の松の木に恵まれ、平安時代から鎌倉時代にかけて、「古常滑」と呼ばれる壺や甕(かめ)が作られ海運で日本国中に広まりました。
江戸時代には、御用窯となる数多くの窯元が出現し、常滑焼も大きく発展します。江戸時代末期になると連房式登窯が採用され、陶製の土管や後に常滑焼の代名詞となる朱泥の茶器が作られるようになりました。
明治以降は、レンガやタイル、衛生陶器なども量産し、近代国家建設の一翼を担う焼き物の産地となります。
時代が移り変わった現在も、技術の大幅な進歩や新たな技法を生み出す作家の登場で、陶業に限らず発展し続けています。
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しっとりした質感に、思わず触れたくなる茶器
江戸時代の日本、庶民の間で煎茶が広く普及したことで、常滑でも急須など茶道具の制作が盛んに行われるようになります。
そして、幕末には現代の急須の原型となる「朱泥急須」が誕生しました。深みのある朱の色合いとしっとりとした質感がなんとも魅力的です。
常滑の土は、やきものに適した酸化鉄を含む粘土質の陶土であり、焼き上がると柔らかな朱色を帯びるのが特徴です。また釉薬を用いず、肌は土そのものなので、光を吸収し思わず触れたくなるしっとりとした質感に焼き上がるのです。
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陶技と伝統を次代へつなぐ
現在も多くの窯元が急須や器などを中心に陶器の生産を行っている常滑には、茶陶の世界で名声を轟かせる素晴らしい作家が多く活躍しています。
中でも、三代山田常山は、「急須朱泥」で1998年に愛知県初の人間国宝に認定されました。初代常山から陶技を学び、類稀なるろくろ技術で繊細であり端正な急須を作り上げました。生前は伝統的な急須からモダンな作品まで100種類以上の作品を世に送り出しており、現代の常滑焼の発展に貢献した立役者のひとりです。
三代山田常山の下で学んだ作家も多く、四代山田常山や鯉江廣氏といった古参から、前川淳蔵氏や藤田徳太氏など、注目すべき若手作家まで、先代からの高い技巧と伝統を受け継ぎ今に至ります。
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の魅力"
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陶工紹介
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人間国宝
三代常山
YAMADA JYOZAN Ⅲ
自身が茶陶の名人であるに留まらず、戦後日本の陶芸ならびに伝統工芸における常滑焼のアイデンティティー確立に尽力した三代。人間国宝の渾身の作行に心打たれます。
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四代常山
YAMADA JYOZAN Ⅳ
研究肌の陶工を輩出する常山窯の中でも、レパートリーの広さを誇る当代。茶器もあわせて人間味のあふれる作品群は常山窯の温みを感じさせます。
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山田 想
YAMADA SO
三代山田常山から「手取り足取り」急須を教わった唯一とされる山田想。研ぎ澄まされた作風は常山窯ならでは。若くしてトルコ釉など独自の境地を切り拓いています。
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鯉江 廣
KOIE HIROSHI
原土を調合し作り上げるオリジナルの朱泥土が炭化焼成によって急須を黒く窯変させて「漆黒をつくる強い赤」を生み出します。
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風月
FUGETAU
人間国宝三代常山の惣領弟子、日本工芸会の重鎮であり、煎茶工芸のトップランナー。伝統的な朱泥土製法の継承者であり、研ぎ澄まされた茶器を今持って追求するスタイリスト。
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北條
HOKUJO
焼き締めの第一人者として江戸時代から伝わる技法を現代に伝えます。常滑焼の質感がそのまま感じられるよう残した作風が人々から愛されています。
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舜園
SHUNEN
二代目としての作風を求め、桜菊などの花の彫りや、常滑焼では初となった透かしなど、独自の製法で彫りから焼きに至るまで全工程を自らで行う匠です。
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水野 博司
MIZUNO HIROSHI
伝統に反旗を翻しつづけた水野博司が、 今や急須の伝統の水脈となる不思議。 人間国宝を輩出した常山窯の末の弟子。 クラフトに与した活動をキャリアとしながらも、 その造作のするどさ、確かさはまさに 伝統工芸の出自と見て取れます。
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仁
JIN
急須だけにとどまらず、大きなモニュメントなど様々なものを作り上げ、急須は使ってさらに良くなるもの、として、使い続けたくなる作品を作っています。
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雪堂
SETSUDO
先代からの教えを守り、常滑焼の世界で朱泥を追求し突き詰めてきた手挽き急須。その精巧な完成度は、数々のコレクターを魅了しています。
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益規
YOSHIKI
かつて産地の重鎮が、若かりし益規の仕事を「参考」にして自作を成したとの伝説が残る生粋のテクニシャン。煎茶器の常識をくつがえす数々の作品を今も生み出しています。
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青峰
SEIHO
都から遠く離れた常滑には珍しく作品に「色気のある」陶芸家。日本古典文学に造形が深く、自作にみやびな世界観を深く体現させる伝統工芸の大家です。
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弘二
KOJI
新しいライフスタイルに合う急須を、と作られた北欧クラフトに着想を得た「ブラックアンドホワイト」がヒット。クラフト感あるシンプルな作風が魅力です。
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香臣
KOSHIN
皆に好かれる使いやすい急須をテーマに、まるで大理石のような質感が美しい香臣の茶器。重厚な表現が美しく机上を彩ります。
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玉光
GYOKKO
父である先代から玉光陶園を受け継ぎ、後継へとつなぐ2代目当主。朱泥だけでなく白泥、緑泥など新しい土や絵具を独自に開発しています。
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淳蔵
JUNZO
こてこての常滑焼陶工を父に持つ前川淳蔵。父と同様海外経験も豊富。常滑焼の心映えを大切にしつつも、茶器の文化、陶土などに国際的な知見を持つ作陶は、今後の常滑焼をリードする若手です。
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豊
YUTAKA
みやびな常滑焼陶工、都築青峰を父に持ち、京都で作陶を学んだ都築豊には、陶芸を広く人類の営みと捉える視点があります。これからの国際的な活躍が期待される若手作家です。
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徳太
TOKUTA
常滑焼の神様が、彼を次世代の常滑焼急須挽きの筆頭に選んだのか? と思わせるほどの円満かつ創造的な茶器作品の数々。10年のうちには国際ブランドか。
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雅風
GAFU
人間国宝、三代常山の弟子筆頭の村越風月に学び、常滑焼伝統の「本朱泥」製法を受継ぐ、伊藤雅風。「急須愛」を自認する雅風の作陶は煎茶工芸のレスペクトに満ち溢れています。
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小北條
KOHOKUJO
当代清水北條の次男にして、長男弟子でもある当代小北條。先代の活躍を凌ぐほどのバイタリティーが魅力です。
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雪月
SETSUGETSU
二代雪堂を父に持つ吉川雪月。物心がつく頃から、 ロクロに向き合う先代の姿を目に焼き付けて育ち、 作陶プロデビューの翌年には、 日本煎茶工芸展で文部科学大臣賞を受賞。 これからの活躍が期待の逸材。
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伯勇
HAKUYU
唯一無二の常滑焼の古老。陶彫も急須も本格の陶工。 若くして常滑の名窯に学びながらも、 アメリカ向けノベルティーの原型師としての活動が長く、 自然と、和と洋のハイブリッドの作風に。 近年陶彫の手びねり急須が評判を呼び、 今回初めての茶器展出品。
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