特集
清水焼 薄氷杯・汲出し碗

2019/09/19

繊細な生地のつくりは、清水焼陶工による絶技の賜物。

京都の古来よりの名産である清水焼。その特徴は献上品であったがゆえの繊細なつくりにあります。

それは器であれば生地づくりの繊細さ、つまり「薄く・軽い」こと。この「薄氷」のような極薄の器はある清水焼陶工による絶技の賜物です。

轆轤成形後に永延と削りを入れていくのですが、手と目だけの感覚では削り具合を完壁には測れないため、夜間周囲が静かになってから作業します。

耳も使い、削れる「音」を頼りにギリギリの薄さまで仕上げます。削りが終わり乾燥工程を経て、焼成にはいる際にも注意が必要です。

あまりに生地が薄いので、通常どおりの置き方で焼成しますと生地が自重にたえきれずロ部分からへたって垂れてしまいます。

そのため「ふせ焼」(口と高台を天地さかさまに置く)にして焼成します。これにより口の形状は保たれますが、伏せ焼にして焼成しても全体の50%以上の生地は楕円形に変形してしまいます。決して成功率は高くない焼き物です。

高級なハンドメイドのワイングラスがそうであるように、唇に当たる杯の飲み口部分が薄いほうが舌の触覚が邪魔されず、お茶や酒本来の味が、ハッキリとおいしく感じとることができます。

また、お茶を注いだ際は、中のお茶の色まで透けて見ることができ目でも楽しむことができます。